とりあえずは禁煙トークから

紙巻きタバコは20世紀に入って爆発的に流通したものだそうで、時期的には1940年代あたりのビバップ全盛期にはもうジャズメンたちがスッパスッパとタバコを吸って、肺がんでバッタバッタと死んで行ったということになるんだろう。

それから第二次大戦中の兵士たちも、スッパスッパと狂ったようにタバコを吸って気分を高揚させたっていう話。そう考えるとタバコってのは静脈注射をしなくても平気だから、不衛生な戦場でもマッチで火さえつければハイになれるっていう代物だったわけで、その観点からすると、とても便利な麻薬だったんですね。

タバコの文化というのは戦争が育んだ、とも言える。二回の世界大戦は人類を喫煙者にした。だから1940年代なんて確実にタバコ全盛期で、中では夫を戦争で失った女性もスッパスッパとタバコを吸っていたかもしれない。そのタバコの時代から大麻の時代へと移って行く過程、これも音楽に現れていたりして、と考えた。つまりビバップからいわゆるモダンジャズまでの過程というのは、タバコから大麻だ、と仮定する。

タバコの歴史、大麻の歴史ということで考えたら、そりゃどちらも紀元前何年には、みたいな話になるだろう。問題はそこではない。ミュージシャンが、それぞれの葉っぱを音楽と結びつけたのはいつだったかという話だ。

アメリカの話で言うならベトナム戦争まではタバコの時代だったと思う。抑うつの必要があったんだろうか。そんでベトナム帰還兵が現れたころには厭戦ムードも高まる、これと大麻がリンクしてんじゃねえのか、みたいな話を考えた。ジャマイカンがすでに大麻をやっていたというのは、逃亡奴隷の習わしであったことを考えるのならば、アメリカ合衆国の一部でも大麻食って演奏していたアパラチアの山人はいたかも知れない。ただ、どう考えてもバンジョーダルシマーの速弾き自慢は、大麻とは真逆に思えてならないんだよね。どちらかというとあれはバーボンと、そしてタバコでしょっていう。

大麻は速弾きにそぐわないというのは、本当は間違ったイメージだと思う。そもそもテンポが速い遅いというのは、あんまり脳の状態とは関係なくて、まあおおむね、気候や環境だろうなとは思う。今言ってるのは、ジャマイカでレゲエが生まれたということを念頭に置いて書いているんだが、そうじゃなくても普通に速い曲遅い曲というのがあって、それを自由に演奏していただろう。まあとにかく、大麻だから遅いっていうのはちょっと単純すぎる。