2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

カウボーイ・ポエトリー

カウボーイ・ポエトリーというものがある。牛追いの連中が夜のたき火を囲みながら話した詩の朗読の形式のひとつで、tall tale(ホラ話)や民謡のバリエーションのひとつであったと思われる。一般的には文盲だったため、口承で伝承されたというのはアフリカ人…

Flaco Jimenez#1

相変わらずダラ訳しか脳がないんだが、これも好きこそもののなんとやらというわけで。今回はフラーコについて。ソースはFlaco Jimenez: The RootsWorld Interview 他です。ホンキートンクが白人の庶民、ザディコが黒人の庶民、コンフントはテクスメクス文化…

ツラツラと

●西海岸のヒッピームーブメントをロックの起点にする考え方に違和感を覚えるのは、それがビートルズ旋風と同様に「終わってみたらどうでもいいこと」に思えるからだ。時代の空気感に合った歌が存在し、それぞれのブームには仕掛けている側が存在し、そして、…

花のカリフォルニア

例えば日本の話。かつて「ジャズ喫茶」が隆盛を誇った時代があったのだという。その後、ジャズ喫茶どころかジャズも喫茶も廃れていく。具体的に廃れていくとはどういうことを表現しているかというと、中心から周縁部分へと押しやられる、魅力がなくなる、絶…

テキサスのレコード産業(戦前)

テキサス州サンアントニオ、州南西部の特に50年代から70年代くらいまでの音楽シーン自体は非常に謎めいていて、コンピCDでちょくちょく入手できるくらいで、チカーノのソウルにしてもコンフント・デ・ノルテ(でいいのかな?ノルテーニョ?)にしても、「見…

ダグ・サームを追う#4

ダグ・サームを追う#3.5 - 音楽・脳・アメリカの続き。カリフォルニアにいた時期のダグ・サームのアルバムは今聞くとどれも素晴らしい。商業的な成功という意味では、シングル「Mendocino」がちょい売れした程度で、1971年にはSDQは解散(というか休眠)して…

ダグ・サームを追う#3.5

ダグ・サームを追う#3 - 音楽・脳・アメリカの続き。ヒューイ・モーの仕掛けと相俟って、一躍全国的な人気者になったダグラス卿。ここでまた覚えて損はないのが、1965年にアラバマ州セルマからモンゴメリーへ行進したという事件。史跡めぐり・アラバマ州の選…

Sunday Sunny Mill Valley Groove Day / Doug Sahm

もうなにも言うことがなくなって 雲は全部消えてなくなった 僕の心は海を渡ってさまよう さあ朝になったね 梢から太陽の光が差すだろう こんなに居心地のいい場所は他にないっての分かるだろう? 晴れた日曜日のMill Valley 楽しい一日 君は空気に奇跡を感じ…

ダグ・サームを追う#3

ダグ・サームを追う#2 - 音楽・脳・アメリカの続き。ダグ・サームはドリー・ファンク・ジュニアと同い年の1941年生まれということを書いた。ドリーの弟テリー・ファンクは3歳下の1944年生まれ。1965年、21歳でプロデビューしている。大学に行った兄とは異な…

Texas Tornado / Doug Sahm

窓に板も張ったしドアも打ち付けた 今晩やって来るよ 海岸にやって来る 牧場は全部めちゃくちゃ ガルヴェストン湾は大時化 テキサス・トルネード ホントにお前は糞ったれ テキサス・トルネードが空からやって来る テキサス・トルネード まだ死にたくねえよ …

Sam Phillipsとメンフィス

サム・フィリップス、1923年生まれ。プレスリーを「発見」したことで有名なプロデューサー。1950年代のロックンロールの出現の時期に重大な役割を演じ、「ロックンロールの父」なんて呼ばれ方もする。もともと、1940年代にアラバマ州マスルショールズのラジ…

ダグ・サームを追う#2

ダグ・サームを追う#1 - 音楽・脳・アメリカの続き。ダグ・サームのアイドルはFreddy Fenderであったという記述もライナーノーツにあるんだが、ダグ・サームの4歳年上のフレディが「Wasted Days and Wasted Nights」でヒットしたのが1959年で21歳。この若い…

ダグ・サームを追う#1

「テキサスにダグ・サームあり」と認識されるようになったのはいつなんだろう。YouTubeで見る事ができるSDQの「She's About A Mover」の映像は、女子供がキャー、というよりもギャーと、まるで椿鬼奴みたいな声を挙げているんだけれど、あれはテレビ用の演出…

Cheap Sungrasses / ZZ Top

朝の陽光が頭に差し掛かり ベッドから出て最初にすることは ストリートの連中を打ち負かすこと そして安いサングラスをかけろっつーの彼女と一晩過ごしたんだよ ジーンズもセーターもタイトでさ 糖蜜みたいに甘い西海岸っぽい身体でよ でもやっぱり一番いか…

テキサス周りばかりで

最近テキサスのことばかり書いているような気もするが、多分テキサス期なので気にすることではない。iPodにもZZ Topやらを混ぜたテキサスチューンをぶち込んでいるが、それにしてもダグ・サームは傑出している。とにかく8分の6拍子がブリッブリなのだ。いつ…

カウボーイ・トロイ周辺

ぐるっとネットを一回りすると、カウボーイ・トロイについては誰も彼もが、程度の差こそあれ「カントリーの未来を変えるかもしれない」という言葉で締めくくっている。実際彼や彼の観衆を現地で見ている人の評価だからやっぱり期待はされているのかもしれな…

Cowboy Troy

なんとなく自分でも分かっていることなんだけど、例えば鳥居みゆきのことを「あんまり好きじゃないんだよね」みたいに他人に言うんだけど、そういう場合は確実に鳥居みゆきが気になって気になってしょうがないわけで。だから前回のエントリーにも「カウボー…

Charley Pride

カウボーイ・トロイに覚える違和感を説明すると、恐らくこうだ。黒人がラップやってて当たり前じゃないか、ということ。前の日記ではジェロの海雪と比較してみたんだが、ジェロの方が堂々としているような気がする。今目の前のステージに黒人が立っていると…

Jack Clement

チャーリー・プライドを最初にプロデュースし、その後長くヒット曲をもたらした「カウボーイ」・ジャック・クレメントという人について。1931年4月5日テネシー州メンフィス生まれ。メンフィスと言えば…まあいろいろあるが、この場合はSun Records。プレスリ…

「カントリーは白人のもの」だって?

カントリー音楽は白人保守層のもの…なんてあっさり書いちゃうと、これまた自分の頭の中で揺り戻しが起こる。まずひとつ、カントリー音楽は保守ってわけではないでしょ。チックス以前もガース・ブルックスは非常にリベラルな立場でカントリーを歌っていたわけ…

アーティストと政治性

アーティストが反戦でもハンセンでもどっちでもいい、と前回書いたところで考えた。カリフォルニアのヒッピー文化に思いを馳せれば、大衆歌謡の歌手が公権力に対するメッセージを歌うことが許されたことこそが、逆説的に民主主義を証明していたことになるん…

Ted Nugent

それにしてもアーティストが政治性を持つと、保守かリベラルかに関係なく、ちょっと胸がざわめく。こないだビヨークが中国のコンサートでチベット解放だか言ったというのがニュースになったが、アーティストの政治性についてはまた別に考えてみたいものだ。…

シンコーミュージックに罪はないけどね

今ちょうど仕事していたんだが、テキストエディットがフリーズしちまって、それを保存していなかったもんで萎えて今この文章を書いている。気分転換っつーのかね、現実逃避というのかね。それはそうと、テッド・ニュージェントというギタリストがいるんだが…

「音楽」と「音楽ビジネス」

なんかヒューイ・モーみたいな人のことを書くと、すべての「音楽」と「音楽ビジネス」は表裏一体なんだよな、ということを改めて実感させられる。それは悲観的というか否定的な意味ではない。プロレスを知っているか、知らなくても映画『Beyond The Mat』を…

Freddy Fender

暖かくなってきましたね。うっすらとまた燃料(CD)を仕入れに渋谷のタワレコ行ったもんで、いろいろナニがいいカニがいいと他人の話に聞いていた新譜をあれこれ試聴機で聞きつつ、下から上まで死亡遊戯をしていたのだが、なんかねえどうも最近CDが高い。売…

Huey Meaux〜アメリカ南西部の仕掛人〜

そういうわけでヒューイ・モー(Huey P. Meaux)という男、スワンプ・ポップの仕掛人である。簡単に言えば、ビートルズ旋風のブリティッシュ・インヴェージョンの時代に、カントリー/テハーノ畑のダグ・サームらにイギリス風の格好をさせて組ませたバンド、…

Alison Kraussに惚れている

単純に歌がうまいとか声がいいとかいうのは、顔どうのこうのではなくて惚れる重大な一要素であると思う。なおかつ彼女の場合は容姿だって相当いい。彼女の髪の色は明るいブロンドなのか濃いブラウンなのか、いまいち判然としないが、そんなの関係ない。ライ…