実家に帰って思う事

東北の某県の郡部に両親がいる。すでに70歳over。駅周辺にはスナックもパチンコもない。幸いなことに100坪ばかりの土地があり、そこで百姓の真似事をしてヒマを潰している。採れたてのトウモロコシや枝豆のウマい事と言ったらこの上ない。まあそうやって幸せに健康に暮らしているようだ。

畑を耕すという趣味があるために、インターネットなどにハマるきっかけがなかった。だからiPodの仕組みを今ひとつ理解できない。家にはピアノもあり、ギターもあり、それなりに音楽を趣味とするきっかけはあったのかもしれないが、なにしろ田舎だけにソフトを買う場所がない。ラジカセの使い方は一応分かる。ただほとんどはAMラジオを聞くのに使っているのみで、CDはほとんど聞かない。このように日本の田舎には、インターネットにも音楽にもほとんど関わりのない生活をしている世帯がある。まあ現時点ではこれは当たり前だと思う。30年後にはちょっと様子が変わっているかもしれないけれど。Amazonがいかに利用されるようになろうとも、興味のない人にはまったく興味がないという事情がある。これは田舎でも都会でも一緒だろう。

じゃあこの世帯にどうやって音楽を売るかということを考えてみる。テレビという媒体はここではもちろん有効で、一般的にドラマのタイアップだったりCMソングだったりはそれなりに浸透するし、年寄りだけの世帯ならちょっと分からないが若い世代がいるならどこかで手に入れるかもしれない。国道沿いにあるCDレンタルショップかパチンコ屋の景品か、あるいはホームセンターにも売っているだろう。合衆国でもTV番組「American Idol」で優勝した人のCDはWalMartのみでの限定発売だったりするわけでその辺の事情は日本もアメリカも変わらないのかもしれない。あるいは土日の新聞の全面広告にある「魅惑のポップス100」とか「懐かしの歌謡曲全集」といったボックスCDを通販で手に入れるかもしれない。

アメリカの場合はどんなド田舎でも、宗教的な行事として一週間に一度は必ず音楽に触れる機会があるはずだ。この点はどんなに頑張っても越えられない壁だ。CDを買うという以前に、歌を歌うとか楽器に触れるとかが日常としてあるかないかは重大な違いを生む。であるなら、日本の音楽メーカーは音楽をカルチャーとして育むような取り組みをしていくべきだと思うし、結果的にそっちの方が売り上げのパイを広げると思う。どこか取り組んでいる人たちはいるんだろうかね、いねえだろうなあ。