サマソニはクソだった

ライヴ・イン・ブカレスト [DVD]

ライヴ・イン・ブカレスト [DVD]

2日めの東京開催のサマソニに行った。ものすごい数の人がいて盛況。もっとも、ラインナップされているアーティストのことをあまりにも知らな過ぎて、とてもこれに15000円も出しては見にいけないかと感じていたが、ギリギリになってタダ見できることになったのはこれ幸いだった。だもんで以下は金払ってない人の言い分です。

メインの大トリはColdplayというバンド。「という」って付けるくらいに俺は名前しか知らない。もちろん何度か耳にしたことはあるが放置したままってことは、やっぱり聞いた印象として残ってないってことだ。というか俺の周りの人に聞いても知らない。聞いてない。CDを買ってない。「でも有名らしいよ」「若いのには人気あるよ」って話しか出てこない。そこら辺のチラシには「現在世界最強のロックバンド」なんていうフレーズが付いている。世界最強ってよ、プロレスみたいなフレーズですな。

アリシア・キーズの後に登場するんだが(アリシアは非常に良かった。とてもアリーナ向けとは思えなかったが、もっと小さなところで見たらどんだけ感動するだろうなあ)、アリーナを埋め尽くした大観衆を目にして、こいつら全員がColdplayを知っているのかなとふと疑問に思った。俺の知り合いがほぼ全員知らないよっていうバンドがこんなに人を集めるってのは、俺のいるコミュニティがめちゃめちゃマイナーってことになる。今までもまったく自分はマイナー路線と思ったことはないし、むしろサブカル臭のするものは避けて来たし、それっておかしくねーか、とモヤモヤ思いながら彼らの出番を待った。というかね、まあ俺が知らないのはいいよ。全然気にしない。知らないなら知らないなりに、サマソニというイベントの大トリに出て来るくらいのバンドなんだから、なにかしら楽しめるのではないかという気持ちで臨んだ。

その考えは甘かった。結果的にColdplayのライブでもっとも際立ったのは、照明さんの仕事と、SMAPのカバー曲だったとは。ギッチギチにキメやなんかで照明をリンクさせる仕事(多分照明さんが一番のファンなのだろう)は妙に上滑りだった。そりゃそうだ、こっちが曲知らないんだから、そんな派手に演出されたら白けるってもんだ。それからSMAPのカバー。いやー言わずもがな、萎えた萎えた。歓声上げてる人もいるが、冷静に観衆を見ると、そんな大盛り上がりでもないわなーという感触。

もちろんColdplayの演奏が悪かったわけではない。でも数あるロックバンドの中でこれが最高だと評することは気持ちが悪い。最後の花火もただの花火であった。ああそうですか。無理矢理にでも盛り上がった方がよかったかな、と思わせるようなキレイな花火だった。

Coldplayに限らず、これらサマソニに出演する洋楽アーティストの関連記事を読むと、明らかに嗅がされた記事という感じがする。もう音楽ライターなんていらないんじゃね、という気がしてくる。いやそりゃあね、フジロックサマソニも是非にも見ておきたいアーティストは毎回やってくる。Coldplayにしてもそのひとつだと思う。ただね、アーティスト以外の、外側の盛り上がりっぷりがダメ。めざましテレビとかに出したりさ、テレビとレコード店とレーベルとイベント屋が一致団結して盛り上げましょうよっていうその姿勢に完全に白けてしまうわけで。CDの売り方のノウハウなんて50年前から全然変わってねえじゃねえか。糞ったれ、これだけの大観衆、女子供を騙しやがってよ。そしてなおかつ大人も満足させましょうって考えで、前日のピストルズ復活って出し物だったんだろうなあ。あざといっての。

もういい加減女子供をだますのは止めてくれと言いたくなる。大人を呆れさせるな。ボナルーやジャズ&ヘリテッジをきちんと見習え。いや見習ってこうなんだから、これはきっと日本の音楽業界の構造的な欠陥なんだろう。音楽は確かに商品だ。でも商品であると同時にカルチャーだ。お前らその場しのぎで売り抜けばいいって思ってるかもしれないが、もっとさー農業のイメージでイベントをやってほしい。大人はともかくよ、若者が大枚15000円をはたいて見て、そいつらの中から将来のスターが生まれるわけだろ。上っ滑りしたColdplayのような演出なんて見せるなってんだよ。育てろって。

なんて考えると、先の「現在世界最強のロックバンド」というフレーズ、なんと浅はかな響きだろう。でもこれは日本だけじゃなくて、世界中の問題なんだろね。マイケルジャクソンのライブを直前に見たもんでどうしてもこんな愚痴になってしまう。