ビートルズのなんちゃらについて

ニッポン放送が好きでねー。

特に朝の時間帯。小倉淳っていうバブルを引きずった元日テレで現在フリーのアナウンサーが、女遊びも飲み歩くことも遠ざけて早朝4時頃から仕事してるってサマだけで、まず気分を引き締める。

それから朝6時、朝の顔は上ちゃんこと上柳昌彦アナ。上ちゃんってのは画像探してもらうと分かると思うが、典型的な50がらみのおっさんという風体。飲んだり食ったりも好きで、名もない頑張ってる人が好きで、でも本人は仕事はあんまり好きではないっていう雰囲気を出しつつ、「どうなっちゃうんでしょうかねえニッポンは」みたいな語り口は、朝っぱらなのにとりあえずビールを頼んだ頃合いのこの年代のおっさんの話題の切り出し方にも聞こえてくる。実際の人間はどうなのかよう分からんが、親近感の滲み出し方が非常に巧み。この人の視点が、今回の総選挙を含めた政権交代のニュースの中の言動で、一番身近に思えた。

そんで朝8時半になると、カッキーこと垣花正那須さんの番組になる。カッキーってのは30代のアナウンサーで恐妻家で一週間の小遣いが1000円とか言ってる。どうしてそうなったのかというのは、多分めちゃくちゃな金遣いを20代にしていた結果なんだろうな、と想像できてしまう。たまにウマい事も言うキレるアナウンサーなのだが、しかし那須さんとのコンビというのが組み合わせの妙だ。那須さんというのはニッポン放送の制作部アナウンサールーム長という役職にあり、70年代から80年代のニッポン放送の美人で聡明な、ノーメイクの、レジェンダリーなアナウンサーであり、当然カッキーの上司でもあるっていう関係を含ませているところが面白い。スタジオは主にカッキーが仕切り、那須さんがアシストする。そして現場中継がイイダコウジっていう20代のアナウンサーで、鉄道、団地、自衛隊とかのオタでもある。このように各世代ごとのアナウンサーを巧妙に配置しているのが面白いなあと。

大体ラジオ聴くのは朝か深い夜なのだが、夜3時からのオールナイトニッポンRっていう番組を、くり万太郎という60がらみの人がマイペースでやってるわけですよ。那須さんと同期入社の人です。んで、この番組はここ1ヶ月、ビートルズのリマスターが出るとか言うので、ビートルズの曲を小出しにしてる。もうモロ同世代のリスナーに向けてビートルズのリマスター楽しみっすよね〜みたいな語り口になっとる。そんで僕は、この番組を聴く度に、おおビートルズのリマスターってのはそんなに大事件なのね、とやっと認識することができるってわけで、つまり、それほど、そんなに、というか全然、ビートルズになんて興味がないのです。

ビートルズなんてスッカスカだろ、中身なんてなんもねえだろ、という信念で、見事にビートルズは一枚も持ってない。じゃあストーンズ持ってるかっていうとそんなこともなく、てか普通にMuddy Watersでいいじゃん、という気にさせるバンドですよねストーンズは。このふたつのバンド、さらにクラプトンも加えて、この人たちは正直言うと、自分が避けてきた人々です特にビートルズ

自分の聴いてる音楽の世界観の中でくり万太郎世代の音楽好きの世界と調和を持ってつながるアーティストというのはジョニーキャッシュとボブディラン、それとブルースの有名どころの各位ってことになる。そこでバランスが取れるならいいんだが、かといってピートシーガーがいいかと言われると知らないし、ハンク・ウィリアムス最高っていうかちょっと眠いだろって感じだし、戦前ブルースなんて何枚も連続して聴けるもんでもなし。考えてみたら自分の最大の標的はクリ万太郎世代の音楽好きであり、連中の価値観に与せず勝手にやらせてもらいますわ、という考えて音楽を選ぶ過程で、ビートルズ全ハズシという暴挙に出たのだ、と思う。

別に後悔はしていないし、むしろそれで全然快調である。我ながら結構徹底してて、例えばトラベリング・ウィルベリーズはちょっと聴いてられないなこれ、と思ったらジョージ・ハリスンがいてやっぱりなあ、やっぱダメなんだな俺ビートルズは、みたいなこともあった。ただし、ああこれいい曲だわーと思ってクレジット見たら作曲者が「レノン/マッカートニー」となってた、という体験は数知れない。そういう時はお釈迦様の手の中にいた孫悟空の気持ちになるのも事実である。

というわけで、全然興味のないビートルズの話でした!