カウボーイ・ポエトリー

カウボーイ・ポエトリーというものがある。牛追いの連中が夜のたき火を囲みながら話した詩の朗読の形式のひとつで、tall tale(ホラ話)や民謡のバリエーションのひとつであったと思われる。一般的には文盲だったため、口承で伝承されたというのはアフリカ人のそれとまったく同じといえる。

で、具体的なカウボーイの詩とは一体どういうものかというのを説明しようと思ったが、まあテーマがカウボーイの生活に関することである以外は違いがよく分からない。バクスター・ブラックという人が有名でこれまでにミリオンセラーの詩集を何冊か持っているんだが、普通の詩っちゃー詩で、それに韻もかなり頻繁に踏んでるわけでもなし。ただ、このバクスターのおっちゃんがよくwabi-sabiという単語を用いてカウボーイの生活を表そうとするのが面白い。日本の茶道の言葉で表すニュアンスが、実はコマーシャルな部分に現れにくいテキサス・スタイルの重要な要素なんじゃないのかな、と思った。さすがにSRVのような『テキサス・スタイル』のブルースを、この侘び寂びを用いて説明するのはちょっと強引かもしれないが、それでも50年代以前のテキサスのカントリーやウェスタン音楽にはじんわりとwabi-sabiが感じられる。