俺の2009年夏フェス

音楽を聞くってことは旅をするってことと同義である。なんつって。忙しく夏フェスなんぞをあさらなくても、俺はお家で勝手に「自分夏フェス」をするから大丈夫。休みの日には適当に飲み物と食い物を買い込んで、家でCDでも聞いて楽しみますわい。

昼:Hootie & the Blowfish

Live in Charleston

Live in Charleston

Best of Hootie & The Blowfish 1993-2003 (Ocrd)

Best of Hootie & The Blowfish 1993-2003 (Ocrd)

「レスラー」って映画の中で、90年代はクソだっていうセリフがあったけど、ニルヴァーナはクソだとしてもフーチー&ザ・ブロウフィッシュはちゃうやろ。真夏に、Hootie & the Blowfishを安いラジカセで聞いてごらんなさい。ラジカセなんて古いモノがないというのなら、ドンキホーテで売ってる携帯スピーカーにiPodつなげて聞いてみろって。なんて「ラジオ映え」のするバンドなんだってのが分かるでしょう。決して音質は問わない、というのはロックの基本なんでしょうね。そういう意味では、Hootie & the Blowfishはもろにアメリカンなロックバンド。他のバンドとは姿勢が違うというか、見ているところが結構遠くの方(それも10キロくらい先w)っていう演奏と曲想を持っている。知らないで聞いても、よくある典型的なロックの構造を完璧に踏襲しており、首だって振れるし踊る事だってできる。

彼らは1986年に結成されて、90年代後半に火が点いて、現在にいたるわけだから、まるっと20年選手なのではある。Derek Trucks Band(1994年結成)のような10年選手とは違うし、30年選手のEストリートバンドともやっぱり違う。Eストリートバンドは野球で言ったらもう名球会に入ってるわけですが、Hootie & the Blowfishは現場の最高齢クラス。であるから、脂が一番乗ってる。しかもアメリカンロックというのはね、正味の話遠投&コントロールの良さが魅力なのです。外野からのレーザービーム返球がビシッと決まるような魅力があります。

夕方ごろ:Los Lobos

Vol. 1-One Time One Night: Live Recordings

Vol. 1-One Time One Night: Live Recordings

Town & The City (Dig)

Town & The City (Dig)

あの憧れの「アメリカ的ななにか」が実際にあるとしたら、そりゃもうサウスウエストにしかないんじゃないか、と思う。なにしろ一番大きな面積を占めるわけだし。サウスウエストが好きかどうかで人生の半分は決定しちゃうんじゃないだろうか。そんな広範なサウスウエスト地域のイメージを独占的にカバーしているのがLos Lobosだと思う。Los Lobosなくしてサウスウエストなし、とも言える。アルバムも名作だらけではあるけれど、改めて、"La Bamba"という曲は永遠に強烈なキラーチューンである。これについては異論は認めない。拾い物でLos Lobosが"La Bamba"から"Good Lovin'"を繋げて演奏するmp3があるんだが、"Good Lovin'"はドゥワップのオリンピックスやヤング・ラスカルズがやってるウィルソン・ピケット作のティーンエイジソングであるんだが、これをYouTubeで探していたらデッドがこの曲やっててどんなんかなあと思って聞いたらうわーデッド風だわー、とまあこういう道草ばかりしてるからブログなんて進むわけがない。いつもいつも、書こうと思っても挫折するそんな繰り返しであります。

ロスロボスの魅力は音だけではなくて面構えというか立ち位置にもある。音楽的には大食漢と言い切っちゃっていいだろう。当たり前だが、メシを食うから太いのだ。メタボなら動けばいい。でもメシだけは食い続けろ、メシ食ってりゃ死なない。そんなメッセージを感じとっています。そんで年を取る度に、普通は知ってる食い物しか食わなくなるんだけど、彼らには「食った事ないものは食う」っていう主義を感じる。この人たちの音楽人生は明らかに尻上がりだ。ライフハック的な意味でも重要かもしれん。

夜更け:John Hiatt

Live at the Hiatt (Spkg)

Live at the Hiatt (Spkg)

Same Old Man (W/Dvd) (Dig)

Same Old Man (W/Dvd) (Dig)

例えばボブ・ディランジョニー・キャッシュみたいに、おっさんになってから味が出てきたってのとはちょっとこの人の場合違う。なぜならジョン・ハイアットはオールタイムおっさんだから。常に若々しい青春っていう意味でEvergreenなんて言葉があるが、この人の場合は永遠に実りの時、収穫期のような人ではないだろうか。おっさんつーのは、経験豊かであり、人生の滋味について深く探求しており、くよくよ悩まずむやみに欲に走らず、しかしハメは大いに外すそりゃそうだサラリーマンではないんだし。しかし、年齢的には50代後半ではあるけれども、音楽の先輩諸氏に比べたらこの年齢はまだまだ若いってことになるのだろう。彼の場合、行動のベースにあるのが明らかに愛情であったり敬意であったりするから、詩もメロディも人の心を打つのだと思う。やはり人柄ってのは隠せるものではない。